札幌の中心部から少し外れた、築33年のマンションの一室。「大きな窓をできるだけ生かしたい。」「できるだけ広く空間を使いたい。」このような要望をもとに、これまでの店舗設計で培ってきたノウハウを生かしながら、リノベーションに取り組みました。
構成としては、大きな箱の中に小さな箱をひとつ入れ、空間をガラスで半分に仕切るというつくりです。仕切りとなるガラス部分は、ガラス+オーガンジーのカーテン+レースのカーテンという3重の構成です。ガラスという硬質な印象を与える素材に柔らかい布をまとってあげることで、優しいイメージが全体に広がります。このガラスの仕切りは、基本的に視線も光も通します。でも、目には見えない、確固たる境界を生み出してくれます。それは、お客さまがこの空間を訪れた時にわかります。「どうぞ」と言わないと、誰もがその奥へ入るのに、一瞬躊躇してしまう。一見、透過性の高い、頼りない仕切りに見えますが、そこには、目には見えないとても強い境界線が引かれています。
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